OpenSNP  地域SNS|導入事例
地域づくりSNS  眠れる地域の絆を覚醒させる活性化の切り札!
OpenSNP 導入事例

OpenSNP導入エピソード集

OpenSNP導入エピソード集 


『連携』 OpenSNP developers party(開発者連携チーム)
  『連携』 OpenSNP developers party(開発者連携チーム)  [URL] http://dev.opensnp.jp/


「レアな地域情報をマイカー旅行者へ届けたい
  −SNS情報とカーナビ連携」
 by かおりん 

「SNSってなんだろう?」
2006年の秋、まだ何もわからないのに、できたばかりの千葉県南房総の地域SNSサイト「房州わんだぁらんど」に登録して、無謀にもすぐさま書き込みをしてしまいました。その内容というと、ちょうど房総にドライブに出掛ける予定だったので、「横浜から房総にドライブに行くのですが、イチゴ狩りをしておいしいお寿司が食べられるところ、教えてもらえませんか?」。今から思うと、なんと乱暴な投げかけだったことでしょう。トモダチと言えるご縁も少なく、交流といえる前置きすらなく、突然我が儘な質問が出現したわけですから。でもでも、わんだぁらんどの皆さんは、そんな私を本当に温かく包みこんでくれました。


「イチゴ狩りなら、JAさんでまだやってるよ」「お寿司は駅前のおしゃれ寿司なんて女性向きだよ」 
たくさんの方からあっという間に、それこそ地元の人にしかわからないきめ細かい情報がいっぱい書き込まれました。
「え?!SNSって、ひょっとして超すごいかも♪」鈍感な私にその威力を感じさせるのに、十分な効果があったのです。それから1週間後、貴重なクチコミ情報や歓迎メッセージをいただいた地元のみなさんと一緒に、房州のおいしいお寿司をつまんでいたのです。わたしはもう「わんだぁらんど」という温かい仲間ネットワークの魅力の虜になってしまいました。


 ちょうどその頃、私の仕事のチームは、カーナビゲーションから観光サービスの情報を提供するという企画に取り組んでいるところでした。従来のカーナビの情報といえば、ポイントとなる情報を購入し、あらかじめカーナビのDVDやHDDにインストールしておくという仕組みでした。どうしても情報発信したい側のPRが先行して本当に旅行者などが欲しいというラインナップを揃えることは難しく、また情報の鮮度も時間が経過するにつれて落ちる一報です。ユーザの求める情報を、タイムリーかつスピーディできめ細やかに、そして大きなコストをかけずに提供することはできないものだろうか。それがチームに課せられた課題でした。


 最近のカーナビは携帯電話が接続できるようになっていて、インターネットにも繋がります。ただインターネット検索で情報を得るだけなら、たくさんの情報の中から信頼性の低いものや雑多なものを排除し、いかに役立つものだけを取り出すかというのが大変です。しかし、地域SNSに提供されている「口コミ情報」は、互いに信頼できる関係の中で交換される精度と鮮度に優れた情報であり、地域の人だからこそ知っている貴重なインフォメーションなのです。これを使わない手はありません。ガイドブックには書けない「いまだけ、ここだけ、あなただけ」に限りなく近い本音の情報。「欲しい情報って、こういう情報なんだよね!」とチーム全員が頷きました。

 カーナビは位置情報が理解できるので、口コミ情報に地図のポイントデータが加えられていると、目的地へのルート案内はすぐに実現します。地域SNSのレアな地域情報をカーナビで入手しながらドライブができれば、きっとがマイカー旅行者はもっとその土地が好きになる。そして絶好の地元の宣伝ツールにもなるのです。私はそう確信して「わんだぁらんど」の管理者である「そーめい」さんに恐る恐る相談したところ、バッチリ意気投合。早速、専用コミュニティを作って実験を開始してくれました。


南房総での実験では、いくつかの課題も見えてきましたが、それと同時に他の地域にも同様の実験を広げ、システムとしての実現性を向上させる必要が出てきました。そこで、国際大学のショージさんにご協力頂き、第二回地域SNS全国フォーラムのホストとなる横浜の「ハマっち!」を中心にカーナビ向けのコンテンツを登録してくれることになりました。
「横浜らしいストーリーのあるツアーを案内したい」「クルマで行く推奨ドライブコース」などといろいろな企画が立ち上がり、たくさんの横浜情報がカーナビから取り込めるようになりました。この結果を受けて、「全国どこでもその土地ならではの地域観光情報が、カーナビからダイレクトに取り出せるようにしよう!」という大きな目的が設定され、現在システムが開発されています。


はじめて出会った地域SNS「わんだぁらんど」で、知り合ったトモダチの温かさに感動を覚え、私の地元で誕生した地域SNS「ハマっち!」で クリエイティブな若者たちのエネルギーに後押しされ、SNPの総本山である「ひょこむ技術チーム」の開発力に助けられ、地域情報が移動体にも活用される日が目前に近づいています。ささいな思いつきから、たくさんの人との出会いとつながりにささえられ、とても大きな社会貢献ができる予感がします。みんながつながりあう力にも心から感謝と感動を込めて。

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「兵庫県と地域SNS−参画と協働の架け橋となれ!」
 by こうりゅうびと 

ここ数年、全国各地で、自治体が地域SNSを活用するケースが増えてきました。もともと、熊本県の八代市で立ち上がった“ごろっとやっちろ”の誕生がきっかけになって、平成17年度に総務省(平成18年度からは(財)地方自治情報センター)が実証実験に取り組んだことで、地域SNSは一気に全国に普及しました。国際大学GLOCOM地域SNS研究会の調査では、いまや、全国に330を超えるサイトが立ち上がっていると言われています。
 兵庫県では、平成19年度から、ひょこむと連携して、地域SNS活用モデル事業を実施しています。このなかで、県民の皆さんの地域づくり活動を応援するツールとして、また、県政にかかわる情報を広くお知らせし、県民の皆さんに役立てていただくためのツールとして、地域SNSの活用を図っています。


もちろん、県民の皆さんが利用することがメインになるのですが、このモデル事業での取り組みを通じて、ひょこむのなかには、たくさんの県職員が登録するようになりました。その割合は、登録者全体の6分の1ぐらいになります。これだけ職員が登録している地域SNSは珍しいようです。最初は、職員がたくさん入っていることで、行政色が強く出過ぎないか、行政主導だと思われないか、ということをたいへん心配していました。ところが、県民の皆さんの反応は、私が思っていたこととは全然違った方向のものでした。むしろ、県職員は、もっとひょこむの輪のなかに入るべきだという意見をたくさんいただきました。


県ではいろんな事業をしています。それが、県民の皆さんに十分に伝わっているかというと、市役所や町役場の事業に比べるとどうしても限界があります。また、いろんな事業を進めていくにあたって、県民の皆さんの意見をどうやって聞いていくのかということも課題のひとつです。地域SNSは、行政にとって、いままでにない新しい広報広聴のスタイルになる可能性を秘めています。県民の皆さんから、普段はなかなか話をする機会がない県職員と、ひょこむのなかで対話することで、広報だけでは伝わってこない「政策面での考え方」や「現場職員の考え方」がわかったという意見をいただき、むしろ、そのようなニーズがあったことにはじめて気づかされ、顔が見える関係、ナマの声での広報の重要性を認識することができました。


さらに、地域SNSは、職員の仕事の仕方を変える可能性も持っているのではないかと考えています。兵庫県では、井戸知事就任以来、“参画と協働”を基本的な県政の柱として施策を進めています。県民の皆さんは、地域のなかでいろんな活動をされています。県としてもさまざまな形でそれらの活動を応援していますが、まだまだ、十分でない部分もありますし、補助金などの支援はしているものの、現場では実際にどんな活動が行われているのかわからないケースもたくさんあります。


ひょこむには、県民の皆さんが、地域のなかでがんばられている活動の様子がたくさん書き込まれてきます。もちろん、行政が何らかの形で関係しているものもありますが、むしろ、県民の皆さんが自らの発想で取り組まれているもののほうが、はるかに大多数を占めています。これらの書き込みのなかには、地域のなかで何が起こっているのか、県民の皆さんがいまどんなことに課題意識を持って活動しているのかという情報がたくさん含まれています。その情報を常時目にすることで、職員が地域ことを知る機会が増え、地域のさまざまなことに目を向けるきっかけになっています。それが、いわゆる、真の意味での県民と職員の“参画と協働”にもつながっていくと思っています。
 結局、行政がおカネを出して事業を組み立てたからといっても、それだけでは何もできませんし、何も動きません。県民のいっしょにやっていくからこそ、人が動いて、地域が動いて、持続可能な事業効果を生み出していくのです。地域SNS活用モデル事業は、県民の皆さんが活用するという意味ではもちろんのことながら、県民と職員の関係にとっても意義のあるものになっています。このことが、兵庫県にとっても、将来にわたって、非常に大きな財産になると思っています。

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「アクティビストが地域SNSをつなぐ
−地域SNS間連携API開発秘話」
 by こたつねこ 

熱い人のつながりが産み出す創発する情報プラットホーム

■静かなブームとなる新しいまちおこしツール
2007年早春、旧知の財団職員の方からあるヒアリングを受けました。当時は250サイト以上もの地域SNSが全国に存在し、その後も新たな活動がどんどんと立ち上げられており、地域SNSが静かなブームになろうとする気配がありました。自然に地域の実践者の中には、いくつものサイトに出入りして相互のネットワークのブリッジの役割を担う人たちが続々と発生して、誰もが同じグチをこぼしていました。
「最近ログインしなくてはならないサイトが急に増えてきて、一通り回るだけでも大変なんだ」
実際に地域SNSが社会環境として活用されるようになると、大きなひとつのサイトがすべての住民を囲い込んでしまうのではなく、いくつもの個性的なサイトが同一地域に存在したり、遠隔地でもコミットしておきたい地域があって、ひとりのユーザーが複数のサイトに登録・利用するようになると考えられます。となると、律儀な人ほど負担が大きくなってしまう。これはなんとかしなくてはいけません。


■囲い込みビジネスからの意識の転換
「自分の決めたメインの地域SNSにログインすれば、他の加入しているサイトの新着情報を確認することはできないだろうか?」
(財)地方自治情報センターの「地域SNS間連携APIシステム」の開発・実験は、こんな素朴で漠然としたニーズから生まれました。地域SNSサイト同士がAPIシステムを組み込んでおくと、そのサイトを利用するユーザーが個々に情報連携を設定することができる。いくつか存在するSNSエンジンに依存することなく、どのサイトでも簡単に導入できるシステムを開発しよう。「ユーザーレベルで地域SNSをつなぐ」というユニークな取り組みが総務省の肝いりでスタートすることになります。
APIシステムの開発には、地域活性化を目的として多くのサイトが採用している「オープンごろっと」、「OpenSNP」、「OpenPNE」という、三つのSNSエンジンに深く関わる技術者たちのチームが編成されました。並行して実証実験の公募が開始、盛岡市(岩手県)・松江市(島根県)・佐用町(兵庫県)の3自治体の企画が採択され、これに掛川市(静岡県)・篠山市(兵庫県)を加えた5サイトで、年末から本格的に連携効果を相互検証することとなりました。


■地域SNS間連携が創出する人のつながり
このプロジェクトの特徴は「連携と協働」。企画段階から開放的な技術者連携やオープンソース指向の協働開発が推進されました。松江が携帯動画システム、佐用がPC動画システム、盛岡がデータマイニングの導入など、それぞれのチームの持つ強みを活かしてOpenSNPをマッシュアップするとともに、ソース公開を前提とした技術連携が進みました。並行して、三地域のキーパーソンたちがつながり、それぞれのサイトの運用設計や運営技術の交流がはじまります。試用段階には、緩やかな共同体のような意識を生み出し、実験期間のさまざまな連携の創発につながっていきました。
連携システムは、地元サイトにログインすれば、他の連携サイトで着信したメッセージや友達依頼をトップページに列記して通知し、連携サイトの「お知らせ」や「新着一覧」では、各サイトのインフォメーションや友達日記、日記コメント、コミュニティ書込の新着がリストアップされ、ハイパーリンクをクリックすればそれぞれの情報が直接参照できるという環境を提供してくれました。多数の異なるエンジンのSNSサイトに登録していても、メインのサイトにログインすればユーザーに関する情報が一望できることで、負担は大幅に軽減されることになったのです。


■地域SNS連携から大きな情報プラットホームへ
導入初期の段階では、一般の利用者の評判はあまり芳しいものではありませんでした。複数のSNSサイトを利用するという必要性を認識していなかったのでしょう。しかし、サイト内に少しずつ他地域のユーザーが入ってきて美味しい地元情報を披露・交流していくことで、興味を示した人たちが挙って連携サイトにユーザー登録する傾向が顕著となりました。その後、サイトを越えたユーザー同士の遠隔連携は、地域自慢のエール交換から始まり、地元産品のプレゼント合戦、サイト活性への相互支援プログラムと、さしずめ兄弟分のようにますます連携の幅・密度を深めています。
巷では、「Open Social」や「OpenID」のような、よりシームレスなサイト連携の手法が注目をされていますが、サイトそれぞれのポリシーを重視する地域SNSでは、「ほどよく閉じた信頼できるネットワーク」を持続可能にするということに主眼を置いて「地域SNS間連携API」は開発・運営されています。他の独自エンジンのサイトにも導入作業が進んでおり、今後はこの手法に磨きをかけながら、全国の地域SNSが緩やかにつながりながら、大きな情報プラットホーム連携に育つのではないかと期待されています。


・総務省「住民参画システム利用の手引き」地域SNS間の広域連携とは何ですか?
・(財)地方自治情報センター「e-コミュニティ形成支援事業 地域 SNS 間連携の実証実験」

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「携帯とPCの垣根を越えたムービー機能の開発秘話」
 byこたつねこ  

地域SNSのブログ公開制御を利用したインターネットTV・動画ブログ機能開発秘話

■携帯ムービーを使った信頼できる地域情報の即時発信
最近は、携帯電話に搭載された動画機能を使った災害や犯罪現場のリアルな映像が報道される機会が増えました。高速な通信が定額で利用できて、サービスが身近になりつつあるこのツールを、地域の情報発信に活用しようという発想は、まず島根県松江市で産声をあげます。平成19年度、財団法人地方自治情報センター(LASDEC)助成事業として立ち上がった「まつえSNS」の大看板は、「携帯ムービーを使った地域情報の発信」。これを世界的に有名な島根発の開発言語「Ruby」でプログラムし、地域SNSエンジン「OpenSNP」に組み込みました。

携帯動画の地域情報システムの活用は、単にコミュニティのコンテンツが気軽に発信できるだけでなく、特に災害発生時において被災地の情報をリアルタイムかつ正確に伝達できることから、自治体には大変意味のある取り組みです。地域SNSとのマッシュアップは、Youtubeやニコニコ動画のように無差別的に信頼性の低い発信源に頼るのではなく、個人認証を経た実在が裏付けされている住民が、コンテンツに応じて発信制御を行う機能を活用できるというメリットがありました。


■携帯とPCの垣根を取り払う!
松江の動きとは別に、兵庫県佐用町では熊本県山江村で成功した「住民ディレクター」を導入して、ビデオカメラや編集PCを使ったコンテンツ制作を行い、町の住民が情報発信する仕組みを、松江と同じLASDEC助成として取り組んでいました。地域SNS「さよっち」は、ユーザーが外部公開に設定したブログに投稿した動画が、そのまま非ログインユーザーにも観賞できるインターネットTVとして公開できるという仕組み。開局早々から、人口2万人あまりという過疎自治体にもかかわらず、地域に眠っていたコンテンツが続々と発表されていました。

「まつえSNS」の携帯、「さよっち」のPC動画という取り組みは、ふたつが一緒になればもっと素晴らしい..誰でも考えそうなアイデアです。しかし、この融合企画は、単に携帯とPCという違いだげでなく、異なる地域の異なるベンダーにより開発された異なる開発システム(松江:Ruby/佐用:PHP)を使った異なるプログラムを同化させるという、神業(?)のような努力が必要となる..はずでした(笑)。


■地域も言語も利益も越えた技術者連携
総じてシステム開発会社の経営者という人種は、自社の技術者を表に出すことを敬遠しがちです。雑音が入ることで開発効率が下がるという理由が主ですが、技術者間の情報交流が活発になることが、技術や人材の流動化が進むことが懸念されるからです。しかし、松江SNSのワコムアイティ社とひょこむ・さよっちのインフォミーム社の間は違いました。双方の開発ベースとなる地域SNSエンジンが同じOpenSNPだっただけでなく、開発リーダー同士の地域情報化に関する意識が非常に似通っていて、事前の人的交流を含めて、両社の間には心理的な垣根がなくなっていたからです。

「姫路菓子博2008で携帯とPCを融合したシステムが動かせないか!」
開幕までほぼ1月半という状況で、兵庫県からの依頼が入りました。見積もられた開発期間は2ヶ月。人海戦術で分業できる開発ではないので、普通はその場で断念してもらうはずですが、ここから両社の技術者による開発連携が始まりました。それぞれの本社がある松江と姫路は、松平不昧公以来280年、茶と和菓子による文化交流があった間柄。「Web2.0時代の交流復興を実現しよう♪」というノリでスタートした、互いの技術をクロスリンクする積極的技術連携は、開発時間を1/3〜1/5に短縮する絶大な効果を生み出しました。


■地域SNSのムービーコンテンツ発信の標準へ
ワコムアイティ社とインフォミーム社の間で、わずか3週間に交換された多くのメールには、社外秘レベルの先端技術も含まれていました。両社の技術者の献身的な努力は、ひょこむTVとして2008年4月18日からの「姫路菓子博2008」でも大活躍。たった三日間で100件コンテンツ以上が登録されるほどの賑わいを創り出しました。
その後このプログラムは、OpenSNPを採用する各サイトのニーズにあわせて順次提供されていて、オープンソースとしてエンジンが公開される際には、一緒に追加機能として利用できるようになります。Youtubeでは整理できない地域コンテンツの信頼できる発信手順として、ワコムアイティ社とインフォミーム社の緩やかで熱い連携は、今後も多くの地域で活躍することでしょう。


「さよっち」は、関西ウェブサイト大賞2008に入賞しました♪
まつえSNS  / さよっち  /  財団法人地方自治情報センター  /  ひょこむ
姫路菓子博2008   /  ワコムアイティ   /  インフォミーム   /  ひょこむTV 

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「持続可能な『ほどよく閉じたネットワーク』を育む
−地域SNSののれん分け」
 by こたつねこ 

■地域SNSの規模とエリアの限界
 「ひょこむは兵庫県域をエリアとしていて地域SNSとしては広すぎませんか?」という質問をサイト主宰者によく尋ねられます。その回答にいつも「そうなんです。人口が570万人もいて、昔から5つの国(摂津・播磨・但馬・丹波・淡路)があると言われるくらい多様な県民性を持つエリアは、ひとつの地域SNSとしては大きすぎます」と答えます。相手はしばらく怪訝な顔をして再度「なぜ?」と問いかけてきますが、逆の立場なら私も同じことをするだろうと思います。

 ひょこむを開設した2006年9月時点では、まだmixiも上場前で名前を知っている人も少なく、「ソーシャルネットワーキング・サービス」と言えば、連鎖商法の類と間違われるくらいなら上等と考えなくてはならない頃でした。そんな時代に、「実際の地域活動と地域SNSを連動させて、人の絆を復興させ、まちの活性化につなぐ」などという理想を熱く語る変人に同意してくれる人の割合は少ない。となると自然に分母はある程度大きな方が良いことになります。

 また、欠かせないのが行政との協働。コミュニティ活動と本来密接に関係しているのは市町村という基礎自治体です。しかし、基礎自治体をフィールドに選ぶと、単に人口規模だけでなく、課題があまりに生々しくて小さな行政施策の枠に縛られることになります。以前から、兵庫県との協働をこつこつと積み上げてきた実績もあって、ひょこむは兵庫県域の地域SNSとしてスタートさせました。


■元気な地域SNSはいずれ自己崩壊する
 地域SNSには、「信頼と愛着」を基盤とする限り、自ずからスケールやボリュームに限界があると考えられています。mixiのような巨大な地域SNSは存在しないでしょうし、小さすぎても持続可能性が低くなる。小さくてはいけないが、大きすぎても危機を迎える定めにあるわけです。しかし、ソーシャルネットワークという繋がりは人が人を勝手につないでいくので、運営者の思惑通り制御したり制限したりすることは極めて困難ですし、そんなことをするとユーザは一気に引いてしまうことでしょう。元気なネットワークは成長を続けるわけですから、ひょこむにはこの矛盾に対する回答を考えておく必要がありました。

 自由に伸び伸び成長を続けながら適切なボリュームを維持するためには、ネットワークを分散するしかありません。しかし、分離されたユーザが没交渉になることにより関係性が切れることのないよう、分散・協調モデルである必要があります。SNSの囲い込みモデルではなく、「別れても好きな人」がいつも繋がっていられるようなデザインの手本は、日本の古くからの商取引の伝統の中にありました。


■「のれん分け」の知恵と地域SNSの持続可能性
 昔から日本の商人には、「丁稚」から奉公を始めて商いの基礎を覚え、手代となって馴染みのお客さんとの交流を知り、「番頭」になって店主に成り代わって暖簾を背負う。そんな学習プログラムが生きていました。やがて番頭はその実力が認められると、婿入りして大店(おおだな)を継ぐか、お店のお客さんをつれて「のれん分け」をしてもらい自分で商売を始めます。大店の主人は、その後も独立した番頭さんに物心にわたる支援を行い、グループ企業体として共存共栄を目指します。独立の際に連れて出たお客さんは、どちらのお店にもご縁ができることとなり、自由に行き来していました。

 ひょこむに参加するユーザが「自分の地域にSNSを持ちたい」志を立てることはごく自然の成り行きです。丁稚奉公ではありませんが、ひょこむで運営方法の勉強をしたり、同志を募ったりしながら、少しずつ開設の準備を積み上げ、ある程度のマンパワー(100人の仲間たち)が見えてきたら、いよいよ具体的な設置準備に入る。もともとエリアの大きなひょこむは、この地域SNSの「のれん分け」にまさにぴったりでした。

 分散したサイト同士をつないで協調させるのは、総務省の「地域SNS間連携API」システムが活躍しました。新しいSNSに基軸をおいたユーザも、ひょこむの新着情報がリアルタイムに一望でき、直接リンクする。ユーザが特別な負担なく自由に行き来できる環境だからこそ、のれん分けの相乗効果が生まれるのです。


■のれん分け効果を地域活性化につなぐ、情報の地産地消
 ひょこむからは2008年7月現在、「いたまちSNS(兵庫県伊丹市)」「さんでぃ(兵庫県三田市)」「さよっち(兵庫県佐用町)」という三つの地域SNSがのれん分けで誕生し、それぞれ地域特性や環境を活かしたユニークな方法で成長しています。ここに2008年9月には宍粟地域SNSが加わり、兵庫県下を中国縦貫道で横断するロケーションに交流拠点ができあがりました。

 この四つのサイトとひょこむが連携して、2008年度内閣府が公募した「地方の元気再生プロジェクト」に応募したところ、全国1,186件中採択120件に選ばれ、地域モールを活用したリアルな商店街活性化を、地元の高校生や大学生が先頭に立って展開することとなっています。
 地域SNS同士がつながることによって、これまでは循環することのなかった「情報」「モノ」「ヒト」が回りだし、また少しずつではありますが「カネ(経済)」にも明るい兆しが見えてくるに違いありません。即効性はありませんが、時間がかかっても確実に地に足のついた「スローな情報化」を推進することで、情報の地産地消が可視化され徐々にまちが元気になってくるのだろうと思います。

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「セレンディピティな出会い−アクトビラ連携への道」
 by こたつねこ 

第一回地域SNS全国フォーラムの余韻醒めやらぬ2007年9月、兵庫ニューメディア推進協議会主催の「インターネットの新潮流を探る」と題したセミナーが、神戸で開催されました。いつも放電ばかりしているので、たまには充電してネタを仕込む必要もあり、また予定されている3つの講演の内のひとつ、時事通信社編集委員の湯川鶴章さんが語る「ソーシャルメディアのゆくえ」というセッションに興味があって、片道1時間電車に揺られて神戸元町のラッセホールに出向きました。


 しかし、偶然の出会いとは思いがけなくやってくるものです。これを科学の発見では「セレンディピティ」と呼んでいます。何かを探している時に、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉。平たくいえば、「ふとした偶然をきっかけに幸運を掴む事」です。レントゲンやペニシリンの発見も、セレンディピティのなせる技と例示されていて、でもこの偶然は普段からこつこつ積み上げた努力が開花させるとも言われます。「家宝は寝て待て」では偶然の発見は起こらないということです。


 そう、この日の出会いは二つ目の講演である株式会社アクトビラ代表取締役副社長の久松 龍一郎さんによる「テレビでインターネット」でした。それまで「放送と通信の融合」って、あまりにも大きな話しのように思えて、ほとんど興味はありませんでした。ましてや、「テレビにインターネット繋いでどうするの?」って意識でしたから、失礼ながら内職タイムかスリープモードになるつもりでいました。


 ところが、この久松さんの喋りがかなり面白い。なかなか味のある東京なまり関西弁で、きちんと人を引きつけるコツを心得ておられる。また、新しい技術を平易に語り理解させる高度な技術知識も兼ね備えている。ついついその話術に引き込まれてしまいました。その久松さんからサラリと衝撃的なキーワードが出ました。「地上波デジタル対応TV(以下地デジTV)は、番組表ではなく郵便番号でチューニングする!」。他の受講者にはなんでもない技術の話しが、私の脳裏を全速力で駆けめぐり始めたのです。

 ブロードバンドインターネットに接続された地デジTVが、郵便番号を知っていてホームページが見れるなら、郵便番号を持たせてサーバにリクエストし飛び先を連携できれば、○○町内という郵便番号単位で地域情報を提供できるようになるのではないか。地デジTVの向こうにいるのは、いつも自分たちが交流しているパソコンや携帯に熟達した少数派の人々ではなく、お昼間時間を持て余したお年寄りや小さな子ども達。いわば「情報弱者層」であって、これまでリアルタイムに、タイムリーに、地元の旬の美味しい情報を届けたくとも届けられなかった人たちなのです。


 「アクトビラと地域SNSで連携して、地域の信頼できる口コミ情報をTVで届ける実験を一緒にやりませんか!」
無謀にも久松さんに直接アタックした結果は、なんと一も二もなく快諾してくれました。アクトビラも採用メーカー販売シェア7割を担っているとはいえ、VOD(ビデオ・オン・デマンド)でムービーレンタルをするだけでは面白くない。もっと社会に貢献できるツールとなることを求めたいと考えている。彼は紛れもなく社会起業家のマインドを持った企業経営者でした。


 全国約30の地域SNSサイトが協働して、本年度からアクトビラとの情報連携の基礎実験を始めようとしています。技術的なハードルはさほど大きくないものの、地域SNSから信頼できる情報をよりTV番組として見やすく編集・提供できる仕組みを地域SNS共通で用意できるか。また、さまざまに広がる地デジTVと地域SNSの組み合わせによるビジネスモデルを、地域づくりのためにしっかりと根付かせ役立たせていくことができるか。2010年サービス提供を目指して、より多くの全国の地域SNS関係者とともに、考えて行かなくてはならないと思います。

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「単なる交換日記と掲示板を超えろ-全国の地域SNSが神戸に集結。第一回地域SNS全国フォーラムレポート」 by ショージ 
 
■全国の地域SNS関係者が初めて一同に介した
 mixi(ミクシィ)などに代表されるSNS(Social Networking Service)の仕組みを、地域活性化やまちづくりのツールとして使おうという「地域SNS」が全国に広がっている。
2004年12月にサービスを開始した熊本県八代市「ごろっとやっちろ」の成功を受け、2005年度からは総務省と地方自治情報センター(LASDEC)が全国の地方自治体で実証実験を行っている。そのほか、NPOや民間企業などによる開設も相次いでおり、地域SNSは全国数百カ所にまで増加している。
 この地域SNSの運営者や利用者、研究者等が一堂に会する「地域SNS全国フォーラム」が8月31日、兵庫県などの主催により神戸で開かれた。会場には、主催者が当初見込んでいた300人を大幅に上回る550人もの人々が全国から集まり、大盛況であった。


■「ひょこむ」のパワーと参加者の熱気
舞台となった兵庫県は、いまや地域SNSの一大中心地だ。兵庫県の地域SNS「ひょこむ」は、老若男女、県内各地のさまざまなユーザー約2800人が参加し、全国でも有数の規模と賑わいを誇る。地域SNSの運営に関心を持つ多くの人がひょこむに参加して主宰の和崎宏氏などから運営ノウハウを学んでいるほか、ひょこむが採用しているOpenSNPというSNSプログラムを採用する地域SNSが県内外に増えている。県も地域SNSの活用に積極的で、多くの県職員が一般ユーザーに混じって参加し、行政課題を論じたり、県民等との交流に活用したりしている。今回のフォーラム開催にあたっても、多くの「ひょこまー(=ひょこむのユーザー)」がボランティアスタッフとして参加した。

 盛り上がっていたのは兵庫の人々だけではない。550人の参加者のうち、ほぼ半数は県外からの参加者で、プログラム開始前からポスター展示や事例発表会などを行い、また当日の夜や翌日には神戸と姫路の2ヶ所でオプショナルツアーを実施するなど、地域を越えた交流を活発に行った。


■単なる「交換日記と公開掲示板」なのか?
今回のフォーラムのテーマは「地域SNSが、地域を変える、社会を変える」だった。裏を返せば「地域SNSは単なる『交換日記と公開掲示板』なのか」ということでもある。

この「交換日記と公開掲示板」という言葉は、数日前に「ひょこむ」を使い始めたという井戸敏三兵庫県知事が冒頭の挨拶で述べた地域SNSに対する印象だ。この言葉には「何のために地域SNSというツールを活用するのか」という本質的で重要な問いが含まれており、その後の議論を充実させる触媒となった。

開催された3つの分科会では「地域SNSを活用したコミュニティ活性化」「地域SNSを活用した地域間交流」「地域SNSと地域通貨との連携」という具体的なテーマが議論されたが、知事の言葉によって、SNSでのコミュニケーションを楽しむだけでなく、そこから何が生まれるのか、どのような発展の可能性があるのか、ということを考えようという積極的な意識が参加者に共有されていたと思われる。



■オフ会・協働が地域SNSの醍醐味
既に指摘されていることではあるが、分科会での議論や事例紹介を通じて改めて明らかになったのは、コミュニケーションが活発な地域SNSでは、さまざまな形の「オフ会」も活発だということだ。地域SNSはネット上のツールであるが「地域」で行っているため、ユーザー同士が実際に会って何かをしようということになりやすい。またSNSは、イベント企画など大勢で知恵を出し合う協働作業の「場」として活用することができる。
 たとえば京都山城地域の「お茶っ人(と)」では、SNSのコミュニティ発の農業イベントなどがたくさん生まれた。また青森県八戸市の「はちみーつ」では、ユーザーの自発的な情報提供によって「冠水危険地マップ」が作成されたという。このように地域SNSを活用して行われる協働作業によって人々は、互いの結びつきや信頼関係を強化し、地域への愛着や安心感を深め、生活の利便性を向上させていくことができるのではないだろうか。


■つながりをどう発展させるか
今後の発展可能性としては、地域SNSと「地域通貨」の連携が関心を呼んだ。これは、SNS上の「顔が見える関係」を、地域内経済循環や助け合い関係の基盤として活用しようというものだ。たとえば、地域SNS上で地域通貨を流通させると、支払い時に必ず何らかのメッセージ交換を伴わせる仕組みにすることができる。金の支払いにいちいち会話が伴うのはわずらわしいともいえるが、ここから新たな人間関係が生まれ、地域内の交流が促進される。今回のフォーラムでは参加者が「ひょこむ」のユーザーとなって各地から持参した土産品をひょこむの地域通貨「ひょこポ」で交換するという試みが行われ、確かにこのやりとりをきっかけとして新たな友人関係がたくさん生まれていた。
このように今回のフォーラムでは、地域SNSに関わるたくさんの人々が初めて出会い、互いを知り、つながることができた。運営者や研究者ばかりではなく、一般の地域SNSユーザーの人々にとってもその喜びや楽しさはとても大きかったようで、会場はどこへ行っても一日中大変な賑わいであった。「地域SNSで何ができるのか」という知事の問いには引き続き取り組まなくてはいけないが、まずは地域を越えたつながりがたくさん生まれたということが大きな成果だといえよう。

次回の全国フォーラムは3月に横浜で行われる予定だが、「ミニ全国フォーラム」とでもいえそうな地域間交流を行おうという動きがフォーラム終了直後から既にあちこちで起こっている。地域SNSはついに「知る人ぞ知る」存在ではなくなり、加速度的な普及段階に入っていこうとしている。

出典:日経ITPro

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「横浜・房総をつなぐリアルなつながりはSNSからはじまった」
 by 食育探検ママ 

横浜在住の一児のハハです。編集・企画業の傍ら、農業系の市民活動の事務局をはじめ、複数の市民活動の運営に携わっています。市民活動のグループウェアとして、当初地域SNS「ハマっち!」を活用したいと登録しましたが、実際参加し周囲を見渡すと、様々な思いをもって活動している人が横浜には大勢いるということに気づき、活動の場として活用する他に、自分のやりたい夢を、やりたいことを、折にふれ伝え続けていました。

伝えていたこと、それは自給率の低さに対する危機感から、「農業を知らなければ、農業をやらなければ」という思いが芽生え、農業を軸にした活動をライフワークとして取り組みたいということでした。でも、頭でっかちになってしまい、行動が伴わない日々が続いていました。

そんなある日、ハマっちに一通のオトモダチ依頼メールが届きました。メールの主はごんぱちさんです。「房総で農業をやっています。どうぞ農業体験しに遊びにきてください」というメッセージが添えられていました。
生まれも育ちも東京で、田舎も無く、農業とは無縁の暮らしをしてきた私にとって農業を知る、願っても無いチャンスが到来したのです。

寒さ厳しい1月の寒い日に、横浜駅東口の高速バスターミナルから、友人とともに千葉館山へとむかいました。館山ではごんぱちさんからお誘いいただいたハマっちの兄弟SNS「房州わんだぁらんど」のオトモダチ、ソーメイさんも出迎えてくださいました。

畑についたら早速ごんぱちさんの指示に基づいて農作業です。山に囲まれた広い敷地で大根の収穫。太く、しっかりと根を下ろした大根は、子どもたちにとってはかなりの重労働でしたが、この作業一つとっても農業のありがたさを知ることができ、また種まきから体験したいと、もっと農について知りたくなったのです。

これを皮切りに、毎月白浜に足を運ぶことになりました。畑に行くと、わんだぁらんどのオトモダチとリアルにお会いする「畑オフ会」になったりと嬉しい出会いが続きました。そして農業のことや、わんだぁらんどの方々との畑でのエピソードをハマっちで伝えることで、農業に興味を持ってくださるハマっちのトモダチも増え、横浜から一緒に白浜を目指す人たちも徐々に増えていきました。今ではバスをチャーターして、農業体験ツアーをくむまでに至っています。少しずつ房州とのご縁が深まる中、横浜の赤レンガ倉庫前広場にて、ポートタウンフェスティバルという大きなイベントが開催されました。私はエコな手作り品を販売するテントを出展したのですが、そこに房州の仲間に協力していただき、房州の海や山の幸を販売するコーナーや、酪農家さんが書き下ろした絵本の読み聞かせをしていただいたり、観光案内もしていただきました。テント参加人数は1団体としては一番多い17名!皆さんとてもイキイキと、楽しい雰囲気で、場を盛り上げてくださり、大成功のうちにイベント終了することができました。

今回ほど、顔がみえる、だからつながりやすいんだということを実感したことはありません。SNSを通じて相手を知ることで、ぐぐっと近づくことができ、リアルでお会いしたことが無い方も、このイベントで再会することができ、絆を再確認することができました。これからも、SNSでつながりながら、リアルでにもこだわって「何かの際には助け合える、一緒につくりあげられる仲間」たちとつながっていきたいと思います。

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「地域のつながりを世界へ!」 by Masagon

私が初めてSNSに登録したのは、2004年中頃でした。当時はmixiなど知る人もなく、日本では唯一greeがじわじわと勢力を広げていました。オンラインの世界で、トモダチが一人、二人と増えるにつれ、直感的に「これは世界を変える!」と感じました。私が2004年9月27日にしたためたブログには、こんな一節がありました。

『SNSというサービスは、世の中の仕組みを根本から変化させる可能性を秘めた、画期的なコミュニケーション革命だ。(中略)「自己」を「自己」として認めてもらうためには、ありのままの自分でなくてはならない。(中略)そこで(非匿名を基本とした)新しいタイプのコミュニケーションツール、SNSが今後爆発的に広がっていくだろう。(中略)SNSは、リアル(実在)の世界の友人関係を基本として成り立っている。これが最大の特徴だ。(中略)「インターネット=バーチャル」と考えている人は多いが、これは全く事実でない。(中略)つまり、インターネットの真に価値のある利用方法とは、リアルの世界の人間関係を、より密接なものにする事なのだ。SNSは、その関係をより親密なものにしていくための非常に有効なツールなのだ。』

技術屋である私にとって、『人間関係』という極めてアナログな領域に、IT技術が入り込む余地があると知った最初の瞬間でした。当時NECの研究者だった私は、その後独立に向けた一歩を踏み出すわけですが、その流れを支えてくれていたのは、数々のSNSで知り合った、志を共にする仲間だったことは紛れもない事実です。

おりしも、『ヨコハマ経済新聞』というネット新聞から、「地域SNS運営事業者公募」のお知らせが目に飛び込んできました。2007年2月の事でした。予算は決して潤沢とは言えませんでしたが、何かにひかれるように提案書を書いたのを覚えています。個人での応募は私だけでした。残念ながら、私の提案は採用には至らなかったのですが、これをきっかけにボランティアで運営に参加することを許され、横浜地域SNS「ハマっち!」の設立をお手伝いさせて頂くことになりました。
地域SNSの可能性に未来を感じた私は、2007年7月にインフォ・ラウンジLLCという小さな会社を設立しました。「地域情報化」をサポートする会社です。その後も「ハマっち!」を通じて、エンジニアをはじめとするサポーターのネットワークは広がり、OpenSNPを真のオープンソースにするプロジェクト、OpenSNP Developer’s Partyが立ち上がりました。オープンソースというのは、特定の企業が権利を独占するのではなく、誰でも自由に使うことのできるプログラムです。これを使うことにより、地域SNSを安価に立ち上げることが出来るようになります。

mixiがいかに巨大SNSといえども、地域SNSを本当に必要としている過疎地や、豪雪地、シャッター商店街、高齢社会には、その素晴らしさが伝えられていません。SNSは決して難しい道具ではありませんので、人と人とのアナログ的ふれあいが存在すれば、誰でも使いこなせるようになります。1割の専門家ではなく、9割の普通の人にこそ、活用してもらいたい。そうすれば、地域コミュニティに、毎日毎日小さな「変化」が起こります。その小さな変化の積み重ねは、そう遠くない未来に、必ず「大きな」変化として目に見えてくるはずです。

先般、発達障がいの子供たちを支援するSNSの立ち上げをお手伝いさせていただきました。ネットサービスは何でも無料と思われている現在、あえて有料で展開しているにもかかわらず、是非参加したいという教員や父兄、専門家が全国から押し寄せてきます。この現実を目の当たりにして、大変な衝撃を受けました。ネット上に突如として現れた『安心空間』で、悩みを相談したり、子供たちの行動を紹介しあったり、アドバイスをうけたり、すごい密度のコミュニケーションが生まれています。

地方の時代といわれながらも、地域はそれぞれに大きな問題を抱えています。だからこそ、地域SNSという道具を使えば、一丸となれる、そんな気がしています。

OpenSNPは地域SNSのために作られたSNSです。だから、リニューアルされ、オープンソース化されることは、国内のみならず、世界中の何億もの国や地域にとって、大きな財産になります。そう堅く信じて、これからも開発進めていきたいと思っています。

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「兵庫県と横浜の地域SNSの架け橋役として」 by 野獣 

私のニックネームは「野獣(やじゅう)」と言います。

(これは兵庫県宍粟郡のヒノキで作った木彫りのイノシシです。)
ひょこむでは166人のお友達がそして、今年4月に転居した横浜では約3ヶ月間で、144人のハマっち!内お友達ができました。

「野獣さんからメッセージが届いています。」
と、メッセージをお受け取りになったほとんどの方は、恐る恐るメールを開かれるそうです。自己紹介するときは、「怖くない野獣です。」と一言添えるようにしていますが、プロフィールとプロフィール写真で少しは安心していただけるようです。(笑)


昨日も、7月11日(金)に開港記念会館ホールで開催された「横浜市中田市長とて んつくマン(兵庫県生まれ)トークライブショー」を仕掛けてくださった方とお友達になっていただいたのですが、「【野獣】って聞くと松田優作と連想する世代です。」などとやはりニックネームが印象的だと、承認メールをいただきました。

お友達が増えた一番の要因は、私が地域SNSと初めて出会ったときのことが背景にあると考えられます。兵庫県で非常勤嘱託員として在職中の、平成19年7月21日(土)、西宮市地域情報化についての講演会があり、終了後の懇談会で私の人生を劇的に変えた素敵な出会いがありました。兵庫県地域SNS「ひょこむ」を支える、官民の代表お二人(今でも師匠と思っています。)との出会いでした。

そして、平成19年8月31日には、あの兵庫県公館で開催された地域SNS全国交流会に夫婦で参加。
私は、受付及び場内係りとして、そして主人はIT関係のボランティアとして参加いたしました。前日からお手伝いをさせていただいた主人が、「主催されている方々はとても知的レベルと志の高い人ばかりだった。しかも皆さん謙虚で楽しい。」とにこやかに帰宅してきたことを昨日のことのように思い出します。

自分の眠れる資源を掘り起こす努力を惜しまないこと。中学高校時代に、陸上部に在籍し中距離走の選手として限界に挑戦してきました。社会人になってからは、自分のおかれている立場、ミッションは何かを常に考えて業務に取り組んでまいりました。また一県民として、知事の定例記者会見は欠かさず読むように心がけていました。そして、この日の出会い。

その後、主人の仕事の拠点を関東に移すため、今年4月に20年ぶりに横浜に戻ってまいりました。ここでも「ハマっち!」を支える方のご紹介でのおかげで、多くの方々にリアルな場面で「野獣さんです。」と紹介いただいたことがお友達増の要因のひとつになっているのは確かな事実です。

 「兵庫県と横浜の地域SNSの架け橋役」としてお役に立つようにと思い、「ハマっち!運営委員会」の一員にも参加。
5月31日には『横浜開港150周年プレイベント』にハマっち!の代表&市民の代表として、Y150総合プロデューサーと共に赤レンガ倉庫でのパネルディ スカッションに参加するという体験をさせていただきました。 

また、7月11日には、ハマっち!コミュニティ「横浜ポータルサイト」 を学生の方と共に立ち上げました。
このコミュニティは発展途上ですが、「ひょこむ兵庫県からのお知らせ」のように、主に横浜市役所HPから関連事項を選択しトピックを立てて提供したり、イベント情報の掲載、また国の施策などの情報を毎日提供できるよう考えております。

ハマっち!を、もっと横浜市にアピールするため、また更なる応援をいただけるよう努力してまいりたいと思っています。「誰もが安心して豊かに暮らしていける、共に信頼できる社会」を構築するため、地域SNSを最大限に活用し、普及活動に邁進します。




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